インフルエンザとは?インフルエンザの症状などを現役 薬剤師が解説

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本記事の内容 ~目次~

こんにちは、薬剤師の美怜です。

今回は、インフルエンザについてお話をしたいと思います。

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染することにより引き起こされる感染症のことで、急激な発熱、悪寒、鼻水、痰などの症状です。

ただし、症状はインフルエンザワクチン接種の有無により個人差があります。

発熱がないとウイルスが消失するまでに時間がかかるため長引くこともありますが、抗インフルエンザウイルス薬により治る病気です。

インフルエンザウイルスには A型、B型、C型があり、ヒト以外にも感染します。

中でも、A型インフルエンザウイルスは144種と種類が多いため、インフルエンザにかかったことがあっても、免疫がつきません。

そのため、また感染したり、同じ期間であっても違う型のインフルエンザウイルスに感染することもあります。

例年の季節性インフルエンザ(A型とB型)の感染者数は国内で推定約1,000万人とされいて、今年は1月下旬がピークと予想されています。

インフルエンザの症状

インフルエンザの症状
インフルエンザは咳や鼻水による飛沫感染や接触感染で、潜伏期間約1~2日で発症します。

一般的な症状は、悪寒がして、おかしいな?と思った時には高熱で、節々の痛みや咳、喉の痛み、鼻水、全身のだるさなどの症状を伴うことが多いです。

新型インフルエンザでは、その他に下痢や嘔吐などの消化器症状が出ることもあります。

最近では、微熱で咳、鼻水の症状があるので風邪だと思って受診したらインフルエンザ検査が陽性だった!なんて方もいらっしゃいます。

症状は個人差がありますね。

インフルエンザで怖いのは、重症肺炎や急性脳症などの合併症です。

発熱が長く続く、咳の悪化により呼吸困難になる、意識がもうろうとする、痙攣(けいれん)を起こすなどの症状は要注意です。




インフルエンザ脳症

インフルエンザ脳症は、主に5歳以下(特に2歳以下)の小児がかかり、死に至ることもあります。

症状は、意識障害、意味不明の言動、痙攣(けいれん)です。

異常言動、行動の例

  • 両親がわからない、いない人がいると言う(人を正しく認識できない)。
  • 自分の手を噛むなど、食べ物と食べ物でないものとを区別できない。
  • アニメのキャラクター・象・ライオンなどが見える、など幻視・幻覚的訴えをする。
  • 意味不明な言葉を発する、ろれつがまわらない。
  • おびえ、恐怖、恐怖感の訴え・表情。
  • 急に怒りだす、泣き出す、大声で歌いだす。

異常行動のほとんどが発熱1~2日目にあらわれます。

以前、未成年者の転落による死亡事故が起こったことがあるので、小児・未成年者がインフルエンザと診断され、治療を開始してから少なくとも2日間は、自宅で一人にならないようにご家族のサポートが必要です。

感染時には解熱剤が処方されることが多いですが、強い解熱剤を服用するとインフルエンザ脳症がより重症化する可能性があります。

そのため、医師が処方した以外の解熱剤を服用しないことが重要です。

注意が必要な方

次のような方は、感染時に重症化しやすいので注意が必要になります。

  • 高齢(65歳以上)
  • 小児(5歳未満)
  • 妊娠中
  • 肥満
  • 基礎疾患がある
  • 慢性呼吸器疾患(喘息、慢性閉塞性肺疾患など)
  • 慢性心疾患(先天性心疾患、冠動脈疾患など)
  • 代謝性疾患(糖尿病など)
  • 腎機能障害
  • 免疫機能不全(ステロイド内服、T細胞性免疫不全など)

このような方は、重症化しないためにインフルエンザワクチンの接種をおすすめします。

インフルエンザの検査

インフルエンザの検査

インフルエンザの診断は、抗原検出キットが使用されます。

抗原検出キットは、鼻から長細い棒を入れて検体を採取するタイプが主流で、インフルエンザウイルスの有無をチェックして、感染しているかどうか検査します。

結果は5〜15分くらいなので、受診した際に診断がおります。

ただし、症状が出る前だとウイルス量が少ないので陰性になったり、採取がうまくいかなかった時も陰性になります。

私はこの検査が苦手です。

体調の悪い時に鼻の奥のおーくの方まで棒を入れられて思わず「うぐっ…」と変な声を出してしまいます。

小さなお子さんが大泣きするの当たり前ですよね。

インフルエンザの治療

インフルエンザの治療

インフルエンザの治療薬には、抗インフルエンザウイルス薬の内服薬、吸入薬、点滴薬があります。

早期の段階で使用すると高い効果が期待でき、インフルエンザ発症後48時間以内に開始することがよいとされています。

ウイルスの増殖を抑えて、体外に排出されるウイルスの量を減らすなどの効果があります。

抗インフルエンザウイルス薬

内服薬
  タミフルカプセル75
  タミフルドライシロップ3%
  オセルタミビルカプセル75mg
  オセルタミビルDS3%
  ゾフルーザ錠10mg
  ゾフルーザ錠20mg
吸入薬
  リレンザ
  イナビル吸入懸濁用160mgセット
  イナビル吸入粉末剤20mg
点滴薬
  ラピアクタ点滴静注液バイアル150mg

抗インフルエンザウイルス薬以外には、症状を緩和させるために解熱鎮痛剤、咳、淡、鼻水の薬などが処方されることがあります。

インフルエンザ発症時には、異常行動などの副作用が発生しないよう注意深く観察する必要があるとされています。




インフルエンザに感染しない、させない

インフルエンザは、飛沫感染(感染している人の咳・くしゃみにより感染)や接触感染(感染した人が触った直後にその物を触り、その後、目、鼻、口から感染)により拡大します。

感染しない、させないためには以下の注意が必要です。

  • 不要不急の外出は控える。
  • こまめに石けんで手を洗う。
  • こまめにうがいをする。
  • マスクの着用をする。
  • 普段からの健康管理。
  • 十分な栄養をとる。
  • 十分な睡眠をとる。
  • インフルエンザワクチンの接種をする。

咳やくしゃみをする時は、周囲に飛び散らないように他の人から顔をそらしたり、ティッシュなどで口と鼻をおおいます。

そのテイッシュはその辺にポイっと置かないで、必ずゴミ箱へ捨てましょう!

テイッシュがない時は手のひらや腕の内側で受け止める時があると思いますが、この時すぐに手を洗うことが大事です。

その手をそのままにしたらウイルスが飛沫するので感染させてしまいます。

でも、外で手が洗えない時ありますよね?

その時は携帯用のアルコールで消毒っていうのも有りです。

マスクの着用は、感染しない、させないために有効ですが、使い方を間違えると意味がありません。

マスクと顔に隙間があると、そこからウイルスが侵入してしまうので密着させること、使用中はマスクの表面にウイルスが付着しているので触らないこと、この2点が大切です。

インフルエンザワクチンは不活化ワクチンなので、予防接種によってインフルエンザを発症することはありません。

接種することにより、抗体を作ることができます。

その年に流行するインフルエンザは予測されて、毎年、予防接種のためのワクチンが作られます。

13歳未満では2回接種で、13歳以上では原則1回接種です。

厚生労働省は昨年接種した回数分よりも多く用意をしていて、今シーズンでは約5,902万回分ですが、毎年、なぜか品薄状態になります。

用意した回数分が品薄にならないように、医療機関が必要以上に購入しないこと、1回摂取の方はその旨を守ることを厚生労働省では医療機関にお願いをしているようですが、現実、接種するタイミングを逃すと在庫のある医療機関を探すのに苦労することになります。

残念ながら、タイミングを逃した我が子は、10歳なので2回接種ですが、今シーズンは1回しかできませんでした…。

インフルエンザになったら

インフルエンザになったら
予防しても、感染してしまった時は以下の点に注意して過ごしましょう。

  • 安静にして、十分な睡眠をとる。
  • 室内の温度は20度前後、湿度は50~60%に保つ。
  • 感染しないように個室で安静する。
  • 換気をする。
  • 水分はこまめに補給する。
  • 食欲が出てきたら胃の負担にならないおかゆ、スープなどから食べる。

インフルエンザと診断されて、治療薬を服用していても、いつもと様子が違う症状が出た時は、すぐに医療機関を受診した方が良いです。

小児の場合

  • 手足を突っ張る、がくがくする、眼が上を向くなど、痙攣(けいれん)の症状がある。
  • ぼんやりしていて視線が合わない、呼びかけに答えない、眠ってばかりいるなど、意識障害の症状がある。
  • 意味不明なことを言う、走り回るなど、いつもと違う異常な言動がある。
  • 顔色が悪かったり、唇が紫色をしている。
  • 呼吸が速かったり、息苦しそうにしている。
  • ゼーゼーする、肩で呼吸をする、全身を使って呼吸をするといった症状がある。
  • 「呼吸が苦しい」「胸が痛い」と訴える。
  • 水分が取れず、半日以上おしっこが出ていない。
  • 嘔吐や下痢が頻回にみられる。
  • 元気がなく、ぐったりしている。

成人の場合

  • 呼吸困難または息切れがある。
  • 胸の痛みが続いている。
  • 嘔吐や下痢が続いている。
  • 3日以上発熱が続いている。
  • 症状が長引いて悪化してきた。

インフルエンザの出席・出勤停止期間

小児の場合

出席停止の期間は、各学校・園によって決められている場合もありますが、一般的に発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児においては3日)を経過するまでです。
各学校・園によって、登校・登園許可証明書が必要になります。

成人の場合

成人には、出勤再開に関して決まりはありませんが、基本的に、発熱がなくなってから2日目までが外出自粛の目安です。
しかし、発症後7日目でも咳、くしゃみ、鼻、淡の症状があると感染させる可能性があるため、外出する際には注意が必要です。

 




パンデミックとは

パンデミックとは感染症が世界的に大流行することです。

新型インフルエンザは、動物にのみ流行していたものが、突然変異的に私たち人間にも病原性を示すようになったもので、今まで人間に感染していたインフルエンザウイルスとは大きく型が変化したウイルスです。

そのため、私たちは免疫を持たないので急速に感染が拡がり、この新型インフルエンザが流行すれば世界的な大流行(パンデミック)となります。

これまでのパンデミック

  • 1918~1919年のスペインインフルエンザ
  • 1957~1958年のアジアインフルエンザ
  • 1968~1969年の香港インフルエンザ
  • 2009~2010年の新型インフルエンザ

このパンデミックで全世界でかなりの死者がでました。

これらのインフルエンザは、パンデミックの結果、私たちは免疫を持つようになったので、現在では季節性インフルエンザとして流行しています。

今年は、2009~2010年の新型ウイルスが流行すると言われているので、それ以降に生まれて免疫がついていない子供の感染が多いと見られています。

実際に、今シーズンの感染者の半数以下が14歳以下で、9歳以下が3割を占めているそうです。

お子さんが体調不良を訴えたら早めに受診することが大切ですね。

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