賦形剤とは? 賦形のルールなどを現役薬剤師が解説
こんにちは、薬剤師の美怜です。
今回は賦形剤について、お話をしたいと思います。
賦形剤とは、錠剤や散剤などの医薬品に、成型、増量、希釈を目的に加える添加剤のことです。
有効成分の分量が少なく、そのままだと医薬品にできない、分包ができない等の時に用いられます。
有効成分に影響を与えてはいけないため、生理活性を持たない物質として、乳糖やデンプンがよく使われます。
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本記事の内容 ~目次~
医薬品の成分
私たちが服用する医薬品は、全てが有効成分だけで成り立っているわけではありません。
飲みやすくするために添加物が含まれています。
医薬品の名称で50%などの記載がありますが、それはその医薬品の半分が有効成分で残りは添加剤ってことになります。
そして、錠剤の大きさに差があるのは、有効成分の用量によるからです。
この添加剤の一つの賦形剤は、有効成分の量が少ない場合に一定の大きさや濃度にする目的で添加されています。
有効成分と賦形剤を均一に混和し希釈することにより、有効成分の服用量に誤差が生じなくなります。
例えば、散剤で1回の服用量が0.02gの時、この微量の医薬品を服用するとなるとどうでしょう。
これは、簡単なようで難しいのです。
たった少しでも飲み残しがあったら、効果が発揮できる量の服用ができません。
そこで賦形剤で希釈して1回の服用量を0.2gにします。
そうすることによって、少し飲み残したとしても必要量のほとんどが服用できますよね。
調剤
医薬品は賦形剤が添加されて作られていますが、調剤する際にまだまだ少量の時があります。
その時は更に薬局で賦形する事があります。
水剤においては、目盛のついた容器でお渡ししたり、1回の服用量を決まった用量(〇ml)になるように小さな計量カップやスポイトでお渡しします。
そのため、服用量に合わせて賦形します。
錠剤を服用できない患者様は、医師より粉砕の指示がでることがあります。
その時は、錠剤をつぶして、賦形することにより散剤に変えます。
この調剤時に使用する賦形剤は、人体に無害で、医薬品と配合変化を起こさないもの、治療効果に障害をもたらさないもの、医薬品の試験等に支障を来さないものでなければなりません。
薬局によって違うとは思いますが、散剤や錠剤粉砕の時は、乳糖やデンプンで、水剤の時は、水、精製水、単シロップを使用します。
賦形のルール
薬局内での賦形については、ある程度のルールがあります。
顆粒剤は賦形しません。
もし、必要な場合は混合してから分包するのではなく、別々にして重ねまきをします。
混合してしまうと顆粒の粒がつぶれてしまい効果が変化してしまう可能性があるからです。
ドライシロップは賦形しません。
ドライシロップは、少量の水に溶かしてシロップにしてから服用できる散剤です。
もちろん、散剤のまま服用しても効果は変わりません。
溶かすことがあるので、賦形することは適していません。
ただし、用法が一緒で他のドライシロップではない散剤と混合指示が出ている時は賦形することもあります。
抗生物質製剤は賦形しません。
賦形剤の乳糖によりお腹をこわす可能性があるからです。
同時に整腸剤が処方されていたら、混合して分包します。
賦形剤の量
1歳未満 なるべく賦形しません。 1歳以上~6歳未満 1日の服用量0.2g 未満の場合→賦形剤を 0.2g 添加 6歳以上 1日の服用量0.5g 未満の場合→賦形剤を 0.5g 添加
この添加している量は、各薬局で違います。
薬局によっては、添加する量を決めるのではなく、出来上がりの1包が0.2~0.5gになるように賦形している薬局もあります。
賦形剤の量は決めておかないと、同じ薬が同じ量処方されているのに、いつも服用量が違うことに…。
これは、患者様の不安をあおることになり、服用しないなんて事になる可能性もあるので、とても大事です。
賦形剤に乳糖を使用しない時
散剤や錠剤の粉砕時に乳糖を使用することが多いですが、使用できない時があります。
乳糖不耐症の患者様や乳糖と相性の悪い医薬品の場合です。
乳糖不耐症の患者様は、乳糖が消化できません。
そのため乳糖を含んでいる牛乳を飲むとお腹がごろごろして下痢をします。
これは、乳糖を分解する消化酵素ラクターゼの小腸での分泌不足によるものです。
大人の薬は賦形をすることが少ないので、あまり心配はないですが、小さなお子様で乳糖不耐症と医師から言われた方は、薬局にお伝えてしておくと良いですね。
乳糖と混合すると黄色に変色するためデンプンで賦形する医薬品
イソニアジド イスコチン原末 イスコチン錠100mg ヒドラ錠「オーツカ」50mg イソニアジドメタンスルホン酸ナトリウム ネオイスコチン原末 ネオイスコチン錠100mg アミノフィリン ネオフィリン原末 ネオフィリン錠100mg ※ピラマイドを服用する時にイソニアジドを併用する事が多いため、ピラマイドも乳糖を使用しない。
賦形剤の有無
調剤においての賦形剤は、薬剤師が判断して添加しています。
私は賦形した時は患者様にお伝えしていますが、自分が服用している医薬品に賦形されているかどうかは、お薬手帳やお薬の説明書に記載されているので確認ができます。
気になった方は、確認してみてくださいね。
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